1月21日に事業方針説明会を開いたキリンビバレッジの佐藤章社長は、ダイドーとの自販機協業にこう期待を寄せる。
「キリンとダイドーの自販機台数を単純に足せば54~55万台規模になる。それだけお客様との接点が拡大すれば、『午後の紅茶』を押してもらえる頻度が高まるし、さらに製品のブランド力を高めることができる。今後も話があればいろんなメーカーと協力しながら、自販機勢力の“第三極”をつくっていきたい」
佐藤氏が「第三極」と発言したのは、新たな台数増が見込めない自販機市場において、このままジリ貧になっていけば、上位のコカコーラ、サントリーという2強との差が開くばかり――との危機感の裏返しでもある。
「コカコーラは83万5000台、サントリー・ジャパンビバレッジ連合は63万台と圧倒的ですし、コカは炭酸、コーヒー、お茶などすべてのジャンルでトップブランドに近い商品を持っているので、それだけでオールスター機。この2強に太刀打ちできなければ、下位メーカーの将来性は萎んでいくばかりなのです」(前出・宮下氏)
冒頭に挙げた自販機価格も、消費再増税を控えて大きな課題として残されたままだ。
キリンビバレッジの佐藤社長も、「いまは内容量を変えて価格を抑えたり、自販機専用商品を売ったり試行錯誤しているが、価格や量、品質すべてにおいて手売り市場と有利・不利がないような形にしないと、パーマシン(自販機1台あたりの売り上げ)は上がらない」と認めている。
ブランドの垣根を越えてシェア争いに突入した自販機。このまま利益追求の消耗戦が続き、消費者メリットを打ち出せなければ、大手メーカーの自販機といえども次々と街中から消えていくことになるだろう。