安倍氏は「憲法改正は自民党立党の原点」と主張 AP/AFLO
自民党はこれまで「現行の憲法は時代にそぐわない」として改憲を訴えてきた。だが昨秋、安保法案が成立したことにより、改憲への機運は急速にしぼんだように見える。中西輝政・京都大学名誉教授は、「このまま改憲論が放置されれば、日本は存立不可能になる」と訴える。
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日本が憲法を改正すべきなのは、安全保障上の問題からだけではない。実はもっと切実な課題をわが国は背負っている。
昨年8月、安倍首相が公表した「戦後70年談話」は評価すべき点もあったが、要所要所で自虐的な東京裁判史観が顔を出し、随分と諸外国におもねった印象だった。
日本にとって最も大切なのは、次代を担う子や孫らがためらいなく口にできるような自前の歴史観を持つことだ。「こんなことを言ったら、また叩かれるかも」と肩身を狭くして言いたいことを言えない国はいずれ、生命力を失うからだ。まず、国民の精神や心が廃れ、道徳心が腐敗し、自立した価値観を持てず、やがて国全体が萎縮する。自前の憲法で自前の歴史観を確立することが憲法改正の最大の目的なのである。
憲法改正となると、中韓両国は様々な手段で妨害工作を仕掛けてくるはずだ。「憲法改正を口にする日本の首相とは首脳会談を行わない」と宣言したり、多国間安全保障を名目にアジアにおける安全保障機構を作って日本を参加させ、「南シナ海問題は話し合いで解決する」「朝鮮半島は現状維持」などの議題を並べつつ、「日本は憲法を変えない」という国際公約を呑ませようとするだろう。憲法改正が遅くなるほど、こうした包囲網がきつくなることは間違いない。
