手記はこんな一節で始まる。253ページに及ぶ同書の中身は大きく分けて4点。
【1】ハーバード大学への留学から理研に入るまで
【2】STAP細胞論文の栄光と転落
【3】笹井氏への恩義
【4】メディアスクラムの恐怖
前半の【1】と【2】は難解な科学用語のオンパレードだが、ひと言でいうならば「自分は研究不正などしていない」という自己弁護に終始している。次々と発覚した論文の瑕疵(かし)については真摯に反省しつつ、《研究に際しては一片の邪心もありませんでした》。盛んに報じられたES細胞の混入説は《仕組まれたもの》とし、共同研究者の若山照彦・山梨大学教授の過失であると主張している。
中でも目を引くのが【3】の笹井氏に関する記述である。
《(笹井氏との会話は)私にとっては自分の脳細胞がこれまで体験したことのない働きをしているのを実感するほどの知的体験だった》
《途切れなくつむぎだされる言葉は優雅で的確でかつリズミカル。まるで間違えずに音楽を演奏しているかのよう》
彼女が笹井氏に心酔する様子が伝わってくる。A子さんが語る。
「そんなふうに書かれているんですか…。でも、家での主人は研究者ではなく、明るい元気な良き父親でしたから。仕事場の主人は想像がつかないんです。幅広い知識でいろんなことを教えてくれる人ではありましたので、まぁ、彼女が慕ってくださったのは事実なんでしょうけど…」
小保方氏と笹井氏はたびたび蜜月な関係が報じられ、一部では「不倫疑惑」まで書かれた。だが、A子さんは一蹴する。
「なんだかそんな報道もありましたね(苦笑い)。でも、それはないです。ふたりはみなさんが思っている関係とは違いましたから」
※女性セブン2016年2月18日号