「『私はわかっています』っていうことですが、そんなアピールはいらないんです。叱られている子はさらに傷つくし、その子も周囲から可愛げがないと思われる。誰も得をしません。細かいと思うかもしれませんが、早い時期に指摘してあげないと大きな勘違いをしたまま大人になってしまう。でも、注意しても子供はおいそれと直らない。
役者というのは、最後は人柄なんです。演技力なんて続けていれば誰でもついてきますが、人柄はそうはいきません。共演するにしても演出するにしても、嫌な奴とは一緒に仕事をしたくありませんからね」
こう真剣な目で語る坂上は、撮影のリクエストに応じて吸ったタバコの煙がこちらに流れてこないように気遣いながら、机の下の灰皿でそっと揉み消していた。そんな細やか気配りができる男なのである──。
◆さかがみ・しのぶ/1967年、東京都生まれ。1972年、ドラマ『下町かあさん』でデビュー後、『ありがとう』で草笛光子の息子役を演じる。NHK大河ドラマ『おんな太閤記』など、数々のドラマに出演。2012年『笑っていいとも!』レギュラー出演をキッカケにバラエティ番組の出演が急増。現在、『バイキング』『有吉ゼミ』『クイズやさしいね』などに出演。
■撮影/樂滿直城 取材・文/岡野誠
※週刊ポスト2016年2月12日号