実際に日本の廃棄食料はどれくらいあるのだろうか。農林水産省によると日本の食品由来の廃棄物は年2800万トン(2012年度推計)。このうち「まだ食べられるのに捨てられたもの」(=食品ロス)は642万トンに達する。東京ドーム6杯分の莫大な量だ。経済評論家の荻原博子さんは「もったいない」とため息。
「日本は世界中の食料の1割を買っているにもかかわらず、そのうちの半分近くを廃棄しているので、非常にもったいない。廃棄物を活用するさまざまな見直しも進んでいますが、まだ国民全体の意識が低いといえます」
そもそも作り手や売り手による食品廃棄は主に2パターンある、と消費者問題研究所代表の垣田達哉さんが言う。
「1つは、工場のトラブルなどで食品に異物が混入して売り物にならないケース。もう1つは、食品の賞味期限が直前だったり切れたりして販売できないケースです」
今回の廃棄カツは前者にあたる。「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋の広報担当者が言う。
「製品の全品検査の際、機器部品の一部が混入しているのが見つかりました。しかしながら、異物混入時点が限定できず、最大8ミリ程度ですがカツに混入した恐れがあるため、そのロットの商品をすべて廃棄処分にしました」
今回は異物混入の疑いがあった上、横流しの過程で冷凍状態から溶けており、店頭に並んだ際にはカツが傷んでいた可能性が高い。きわめて悪質な手口といえる。
※女性セブン2016年2月25日号