朝井:これはもうファン目線なんですけど、日高愛子(宮本佳林)と安達真由(高木紗友希)が電車に乗っているシーンが心に残りました。もちろん衣装を着て歌っているシーンも素敵なんですが、普通の洋服を着て普通に座って話している2人がものすごくキラキラして見えました。これは普段かわいい衣装を着てステージ上で輝いている彼女たちだからこそ感じる“逆のキラキラ感”なのかもしれないですけど、今後もそういう姿が見られるのはとても楽しみですね。
──私服で電車に乗っている姿は、たしかに普段のアイドル活動では見せることのないものですしね。
朝井:小説を書いているときも、そういう日常的なシーンのほうが楽しかったっていう印象があります。そういえば、物語の中の大切な台詞も、アイドルとしての彼女たちではなく何気ない日常の場面の会話の中に織り交ぜることが多かったような気がします。
──自分が作った物語を、応援しているアイドルたちが演じているというのはどんな感覚でしたか?
朝井:以前、映画化(『桐島、部活やめるってよ』)された時も思ったんですが、俳優さんが役名で呼ばれて、その役の通りに動いているのを見るのが恥ずかしいというか、見てはいけないものを見ているような感覚があるんですよね。禁忌を犯しているというか…。パラレルワールドを産んでしまった感覚で、ちょっと怖くなってきて。なので、実はあんまり長い間、見てられない。ほかの作家さんはどういう感覚なのかわからないですけど、ぼくの場合は作品と上手く距離感が取れないタイプです(笑い)。
──『武道館』では「恋愛禁止」のルールのなかで揺れるアイドルの恋愛が描かれていますが、朝井さんご自身は、「恋愛禁止」についてどうお考えですか?