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血縁ない人に遺産残す場合 遺言の意図示すことが重要

 先月、東京地裁で遺産3000万円を実の娘ではなく、家政婦に残すことを認める判決が下された。裁判を起こしたのは家政婦。映画界では有名だった吉岡重三郎氏のもとで働き、その死後は娘の初子さんとその夫に仕えた。

 体が不自由になった初子さんを最後まで面倒を見ていたのは家政婦だった。死後娘たちが、財産分与を進めていたが、遺言で家政婦に遺産を残す旨記したものが見つかったのだ。

 赤の他人にそれだけの遺産を渡すということで話題になったこの事件、そもそも遺産を取り巻く現状とはどういったものなのだろうか。司法統計によると家庭裁判所における遺産分割事件の数は、年々増加している。なかでも近年、こうした法律上の相続権を持つ家族と第三者によるトラブルは増えているようだ。

「ヘルパーや家政婦など血のつながらない第三者に遺産を遺贈したり、慈善団体に寄付したりするケースが増えています。また、愛人に遺産を残すといったケースもある。

 すべての基本は、“遺言に従う”ということになりますが、“遺言した当時には判断能力がなかった”として遺言が無効であるとか、ヘルパーや家政婦への遺贈については職業倫理が、不倫関係については公序良俗に違反するとして無効であるなどとして、家族が納得せずその有効性が争われることがありますし、仮に遺言が有効であるとしても遺留分があるという主張がされることがあります」

 遺言書の効力は大きい。だからこそ、正しく書き残しておかなければいけない。特に、第三者を巻き込む場合には注意が必要だ。

 遺言にはいくつか種類がある。

 主なものは、証人不要で自筆で書く「自筆証書遺言」と証人をたてて公証役場で作る「公正証書遺言」だ。公正証書遺言は、形式的に不備とされることが少なく、冒頭の事件の初子さんの遺言もまた公正証書遺言だった。

 弁護士の江木大輔さんも、「おすすめするのは公正証書遺言」だとアドバイスする。

「もちろん、自筆証書遺言でも公正証書遺言と同じ効力があります。全文が手書きされており、日付、署名、押印があれば、どんな紙1枚であっても遺言として認められます。ただ、自分で書くと形式上不備になりやすく、不備があれば無効になってしまいます。公正証書の場合は、形式上無効とされることはまずありません」

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