国内

44才女性 卵子凍結から体外受精に成功するまで

 女性の晩婚化が止まらない。2000年に27才だった平均初婚年齢は、2013年に29.3才に。第一子出産時の母親の年齢も、28才から30.4才になった。

 晩婚で女性の初産時期が遅くなり、日本は不妊治療大国になった。そんななか、2月上旬に報じられたあるニュースに、女性たちがざわめいた。

〈44才女性のA子さんが冷凍保存した卵子で妊娠・出産に成功!〉

 これまで、凍結卵子を用いた出産は、がん治療と妊娠・出産の時期が重ならないようにするため、など医学的な理由によるものが主だった。

 ところが、A子さんは体を患っていたわけではない。仕事が忙しくて結婚や出産の機会に恵まれない生活を送るなか、いずれ子供を産めるようになったときを思い、卵子の凍結に踏み切った。その後、結婚を経て、昨夏に女児の出産に至ったのだ。

『卵子老化の真実』(文春新書)の著者で妊娠・出産に詳しいジャーナリストの河合蘭さんはこう話す。

「女性の社会進出が進んで結婚が遅くなっている今、卵子老化が心配な女性が卵子凍結を望むのは、もはや止めることのできない流れです。今後、A子さんのような出産はじわじわ増えるでしょう」

 A子さんが、大阪市にある「オーク住吉産婦人科」を訪れたのは、4年前のことだった。主治医の船曳美也子医師が振り返る。

「A子さんが初診でいらっしゃったのは2011年。当時は40才の独身で、結婚を考えているパートナーがいらっしゃったようです。A子さんは筋腫があるなど妊娠しづらい体質でしたが、“どうしても子供がほしい”という思いが強く、当院だけでなく、他の病院にも行かれていました。

私は最初に“できることから始めましょう”と呼びかけました。看護師のA子さんには医学的知識があるので、理解が深かったこともあり、卵子凍結などの治療にも積極的に取り組み、最終的に初診から2年間で8個を凍結保存されていました」

 これは平均よりずいぶん少ない数だ。通常は1回10~15個の卵子を採取できるが、卵巣機能が低下していたA子さんは、1回につき1~2個しか採取できなかったという。

「一度に採取する卵子の数が多いほど、体外受精のチャンスが増えます。A子さんは卵子の数を増やすために採卵を繰り返した分、費用もかさんだのだと思います」(船曳医師)

 同院の場合、1度に10個採卵した卵子を5年間保存すると50万円ほどの費用がかかる。解凍後の顕微授精などに15~20万円程度、体外受精は1回につき50万円ほどを要する。

 A子さんは卵子を凍結するだけでなく、体内から採取した新鮮な卵子を利用する体外受精も何度か試みており、同院での治療費用は総額で数百万円に達したという。それだけではない。彼女は他誌の取材でこう話している。

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン