ただし、若手教師が「部活顧問したくない」と叫ぶのには、もっと根本的な問題があるのではないか。前出の野球部顧問は、新任教師からこう言われたことがあるという。
「別に部活で採用されたわけではないのに、なぜ顧問をやらなければならないんですか?」
こうした若手教師が増える背景を、東海地方の元公立中学校校長が解説する。
「かつては部活を熱心にやった経験から教職を目指す学生が多かったから、“部活の指導も職務のうち”と考える教師が普通だった。ところが近年の安定志向のなかで、中学・高校時代に帰宅部だった学生が“教員は給料が安定しているから”という理由で教職を目指すようになっている」
プロジェクトのメンバーに取材すると、「教師が部活動の顧問を強制されることによって教師にも生徒にも不利益が生じる現状を解決したい。教師が勤務時間後に部活動のみに縛られることなく、各々の裁量で時間を使うことが、教師の特色や強みを最大限に引き出し、生徒にもよりよい教育がもたらされると考えている」と回答した。
教師を「聖職」と呼ぶのは時代遅れかもしれないが、少なくとも生徒と向き合う情熱のない教師には「師」たる資格はないのではないか。
※週刊ポスト2016年3月4日号