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春闘は時代遅れか 「賃上げだけが闘う材料ではない」と識者

春闘の存在意義が年々薄れている(T-KONI/PIXTA)

 毎年、この時期になると決まって報道される「春闘」。同じ産業同士の労働組合が団結しながら、従業員の「定昇(年齢に応じた定期昇給)」や「ベア(全従業員の賃金水準をベースアップさせる)」の獲得などを目指し、経営側と交渉する“闘争方式”のことだ。

 だが、今年は春闘のリード役ともいえる自動車業界や電機業界が、去年の半額程度となる「ベア3000円以上」の要求にとどまっていることに加え、経営再建中のシャープに続き、東芝が電機連合の団交テーブルから「離脱」したことから、いまいち盛り上がりに欠ける。

 もちろん、会社存続の瀬戸際に立つシャープや東芝にとっては、会社に賃上げを要求している場合ではないのは当然だが、そもそも春闘自体の存在意義に疑問を持つ人が多いのも事実だ。

「いまの時代、同じ業種といっても手掛けている事業領域は各社まちまちだし、業績や個別社員の給与体系も会社によって違うのは当たり前。その水準を統一交渉で決めようというのは時代遅れだと思う」(40代男性・製造業)

「春闘で給料アップを勝ち取っているのは大企業の社員ばかりで、ウチのように労働組合もない中小企業にはまったく関係のない話」(30代男性・IT企業)

「春闘で給料が上がっているのは正社員だけ。私のような非正規社員やパートの待遇は一向に変わらない」(30代・飲食業)

 こうした巷の声はもっともだ。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が指摘する。

「非正規雇用の労働者が4割を占める中、相変わらず大企業・正社員中心の春闘に対する社会的な関心が薄れているのは確かです。それにも増して深刻なのが労組の弱体化です。

 昔の大手労組は自社社員の賃上げだけでなく、下請けや関係するステークホルダーすべてにその恩恵を波及させるという強い意気込みで労使交渉に臨んでいましたが、いまは経営側の言いなり。90年代のバブル崩壊以降、雇用の安定を優先させて長らく賃上げ要求を行ってこなかった労組は、どうやって会社側と交渉したらいいかの手段さえ忘れてしまっている有り様です」

 もっとも、1970年代に約35%あった労組の組織率(雇用労働者のうち労組に加入している人の割合)は、2014年には17.2%まで低下しているため、経営側に対する影響力も失ってしまったのだろう。

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