昼食を済ませると、12時15分から30分までは議事の時間となる。金曜会には常設の事務局が置かれており、司会進行を務めるのは事務局長の仕事だ。世話人代表の右腕となる事務局長は、世話人代表の出身会社から選任されるケースが多く、現在は三菱商事元常務執行役員の伊与部恒雄氏が務めている。必要な報告事項を読み上げ、各トップに伝達する。
一通り報告が終わった12時30分からは、有識者を招聘した講演会が行なわれる。2月12日に行なわれた金曜会で呼ばれたのは國廣正弁護士。國廣弁護士は「危機管理」について講演した。講演テーマは政治や経済、国際、文化など多岐に及び、昨年はプロゴルファーの中嶋常幸氏が参加者への「ワンポイントレッスン」付きで講演を行なっている。
およそ1時間が経過した13時30分、散会。各社のトップは自分の会社へと帰路につく。余談だが、ハイヤーが三菱自動車製かどうかはそれぞれの会社によるようだ。
これだけならばただの懇親会に思えるかもしれない。だが、15分しか行なわれない「議事」の時間には、いかに「三菱」というブランドを守るかが話されることも少なくないという。『日本の15大財閥 現代企業のルーツをひもとく』(平凡社新書)の著者・菊地浩之氏はこう指摘する。
「三菱の社名が付いた企業が経営危機となった場合は、金曜会主導で救済するといわれています」
実際にグループ企業・三菱自動車がリコール隠し騒動等の不祥事を起こした際は、グループ全体で同社を支えている。
※週刊ポスト2016年3月4日号