「エキストラの仕事で学校も休みがち。たまに出る算数の授業なんてちんぷんかんぷんです。貧血で倒れるので体育も教室からぽつんと眺めてるだけ。だから喜々として撮影所に通っていましたよ。それと当時、隣に住んでいたお姉さんが芸術系の大学に通っていて、読み終わった芸術誌を分けてくれた。そこには俳句も絵画も篆刻も全部入っていて、夢中になって読んだものです。だからぼくにとって本は師であり、友達なんです」
俳句は父も母もたしなんでいた。
「女優の松岡みどりさん(70才)と舞台をご一緒している際、『初芝居女樂屋の笑ひ聲(こえ)』と詠んだら褒めていただいて。そこからですね。俳句では、うれしいとかかなしいという言葉を極力排除しながらも、そこから感情がにじみ出てくるところに美を感じます。ぼくは“月がきれいですね”というような句より、(胸の部分に手を置いて)人間の気持ちを揺さぶるような句にこだわっていきたい」
俳句教室の生徒からは「小倉先生の『早春や恋もしなくちゃなんないし』が大好き!」という声が。
「長生きはしたいです。ひ孫も見たいし(子供は4人、孫4人!)、映画も作りたいし、ギターも俳句も…やりたいこといっぱいなので(笑い)」
撮影■浅野剛
※女性セブン2016年3月17日号