流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏がいう。
「日本のお手本として先にGMSが発展したアメリカでは、すでに1980年前後からGMS業態は曲がり角に差し掛かっていました。
当時、世界最大の小売業だった米シアーズ・ローバックが、ウォルマートやKマートに代表される総合ディスカウントストアの攻勢にあって業績を落とし始めていたからです。それだけではありません。玩具のトイザらスや衣料品のGAPといった“カテゴリーキラー”の専門店が台頭してきたことで、GMSの商品群は価格の点からも品質・専門性の点からも魅力が薄れていったのです。
日本のGMSもシアーズと同じような運命をたどることは目に見えていたのに、30年間も問題を先送りにしてきたために、業績不振は手が付けられないほど深刻化してしまったのです」
案の定、日本のGMSもドン・キホーテに代表される総合ディスカウント業態、ユニクロやニトリのような専門店の勢いに完全に押されてしまった。鈴木氏曰く、GMSは「とっくに絶滅した恐竜的存在」だったというわけだ。
では今後、日本においてもGMS業態は消えてなくなってしまうのか。
「これだけ消費が成熟した社会になったので、1社だけであらゆる商品を扱う『総合量販店』の歴史的役割は終わったと見るべきでしょう。
今後は専門店へのテナント貸しや、イオンがやっているように、独自性や価格競争力を高めた商品分野に特化していくしか生き残る道はないと思います。それすらできない不採算GMSは撤退も仕方ない。保育所や高齢者施設、行政機関の代理業務など社会的ニーズのある施設に変えたほうが、地域への貢献度合いも高まると思います」(前出・鈴木氏)
全国各地網の目のように張り巡らされるコンビニのほか、駅前商業施設や郊外型のショッピングモールなど、ただでさえ買い物場所の選択肢は増えた。さらにネット通販の伸長も著しい中、品揃えが中途半端で「欲しい物が何もない」GMSから客足が遠のくのは当然の成り行きなのかもしれない。