「韓国では政権交代が起きると、必ずといってよいほど前大統領が訴追されてきました」(黒田氏)
全斗煥(チョンドファン)・元大統領は退任後、不正蓄財などを追及されて死刑判決を受け(減刑の後、特赦)、盧泰愚(ノテウ)・元大統領も政治資金隠匿などを理由に、懲役刑に処された(後に特赦)。盧武鉉(ノムヒョン)・元大統領の場合、実兄が収賄で逮捕され、自身も収賄疑惑で捜査対象となり、2009年5月に自ら命を絶った。繰り返される歴史は「恨の政治」とも呼ばれる。
「朴政権では李明博(イミョンバク)・前大統領の訴追はなかったが、李氏の看板プロジェクトだった『4大河川改修事業』に対する批判などが巻き起こりました」(同前)
韓国政界の中枢を非朴派に握られれば、朴氏の業績が退任後に「間違った政策だった」と追及されかねない。それを朴氏は怖れているのだろうか。
とはいえ、大騒動となった選挙戦の禍根は大きい。無所属で出馬した議員が当選すれば、あらためて親朴派と非朴派の勢力争いが再燃するだろう。「恨の総選挙」の結果が、朴氏の今後の命運を握っている。
※週刊ポスト2016年4月22日号