競走馬が乗馬馬になっていくそういうプロセスに、ファンも寄り添ってもらいたい。クラブ会員のように、乗馬クラブで頑張ろうとしている馬たちの預託料をシェアしてもらえないだろうか、ということです。あまり接点がなかった競馬界と乗馬界の懸け橋となる。出資者はかつて競馬場で応援していた馬ともっと身近にふれ合うことができるようになり、乗ることもできるようになる。
ホースセラピー業界や養老活動団体との連携も図ります。
障害を持っている人や高齢者が馬と接することで元気になる。馬は人間の気持ちの変化が分かるので、人が喜べば馬も幸せになります。心が通い合うんですね。うつ病や引きこもりなどで悩んでいる人も馬と触れ合うことはとてもいい。競走馬は少しの動きにも敏感に反応するから、コミュニケーションを取りにくい人には癒しになります。
「馬に乗れば唄心」ということわざもあるくらいで、心が豊かになります。刑務所でのメンタル面のリハビリにも、馬が一役買うことがあるようです。
このプロジェクトは今年3月に発足し、武豊、福永祐一といった現役騎手からも賛同を得て、徐々に広がりを見せています。競馬ファンの皆様の応援をお待ちしています。
■すみい・かつひこ:1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後14年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。競馬の他、引退馬のセカンドキャリア支援、馬文化普及、障害者競馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイア、ラキシス、サンビスタなど。
※週刊ポスト2016年4月29日号