国際情報

香港の天安門事件記念館が閉鎖へ 中国の圧力高まる

六四記念館のホームページ

 1989年6月4日に起きた天安門事件を記念して香港・九龍地区の雑居ビル内に開設された「六四記念館」が年内で閉館することが分かった。ビルの所有者らが記念館に反対して訴訟を起こしており、その裁判費用が記念館側の大きな負担となっているためだ。

 この記念館の最近の入場者は大半が中国大陸からの観光客といわれており、事件の実態を知られたくない中国指導部がビルの所有者をたき付けて、裁判を起こさせたとも伝えられている。香港では中国内で発禁本となっている本を売っていた書店経営者らが中国内で行方不明になるなど、中国当局の政治的圧力が強まっている。米政府系ラジオ放送「ラジオ・フリー・アジア」が伝えた。

 記念館は事件から25周年の2014年の4月、ビルの5階に開設。広さは74平方mほどで、これまでの見学者は約2万人に上っている。

 しかし、開館当初からビルのオーナーらが、記念館は攻撃の的となり、マスコミや警察、やじ馬だけでなく、賛成者と反対者を大量に呼び込み、混乱が起こる可能性があるほか、ビル内にはエレベーターが2基しかなく、多くの見学客に対応できないなどとして、記念館の設置に反対。

 この反対を押し切って、記念館が開設されたため、ビルのオーナーらが記念館の閉館を求めて裁判を起こしていた。

 もともと記念館の建設費用は80万ドルもの寄付で賄われており、記念館側は資金難に苦しんできており、年内での閉館に追い込まれていた形だ。

 しかし、記念館を運営する香港の民主化団体「香港市民支援愛国民主運動連合会」は「閉館は一時的なもので、別の場所を探して、半永久的に記念館を運営する」としているが、香港では日増しに中国からの政治的圧力が高まっており、その言葉通りに記念館が再開できるかどうかは不透明だ。

 また、同連合会では天安門事件そのものについても、「ユネスコの世界記憶遺産に指定されるよう運動を進める」としているが、ユネスコは昨年、「南京大虐殺」を世界記憶遺産に指定するなど、中国政府との関係が強いだけに、かなり可能性は低いとみられる。

関連キーワード

トピックス

子育てのために一戸建てを購入した小室圭さん
【築40年近い中古の一戸建て】小室圭さん、アメリカで約1億円マイホーム購入 「頭金600万円」強気の返済計画、今後の収入アップを確信しているのか
女性セブン
1986~2002年【カーネル・サンダースの呪いと「長き暗黒時代」】指揮官が吉田義男から村山実に引き継がれるが、掛布や岡田の不振もあり低迷。17年間で10回のリーグ最下位
《何度も阪神贔屓を辞めようと思ったけど…》国際日本文化研究センター所長・井上章一氏が“阪神ファンを育てるメカニズム”を分析して得た結論「歴史研究は役に立たない」
週刊ポスト
有名人の不倫報道のたびに苦しかった記憶が蘇る
《サレ妻の慟哭告白》「夫が同じ団地に住む息子の同級生の母と…」やがて離婚、「息子3人の養育費を減らしてくれと…」そして驚いた元夫の現在の”衝撃姿”
NEWSポストセブン
カジュアルな服装の小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットで話題》小室眞子さん“ゆったりすぎるコート”で貫いた「国民感情を配慮した極秘出産」、識者は「十分配慮のうえ臨まれていたのでは」
NEWSポストセブン
“極秘出産”していた眞子さんと佳子さま
《眞子さんがNYで極秘出産》佳子さまが「姉のセットアップ」「緑のブローチ」着用で示した“姉妹の絆” 出産した姉に思いを馳せて…
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《日本中のヤクザが横浜に》稲川会・清田総裁の「会葬」に密着 六代目山口組・司忍組長、工藤會トップが参列 内堀会長が警察に伝えた「ひと言」
NEWSポストセブン
気持ちの変化が仕事への取り組み方にも影響していた小室圭さん
《小室圭さんの献身》出産した眞子さんのために「日本食を扱うネットスーパー」をフル活用「勤務先は福利厚生が充実」で万全フォロー
NEWSポストセブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン