ビルが完成すれば、コレド日本橋とともに住友の東京日本橋タワーを挟み撃ちすることになる。まさにオセロゲームのごとく、苛烈な陣取り合戦が繰り広げられている。
反転攻勢を強める三井は「南進」し、東京駅の東側にある八重洲エリアにもグイグイと押し寄せ、日本橋から八重洲にかけての8地区で再開発を行なうことを表明した。住友も旧八重洲富士屋ホテル周辺の一体開発を発表し、両者の戦いが激化している。
三井と住友のバトルによる火の手が周辺まで迫り、これまで丸の内で“専守防衛”に徹していた三菱も動いた。2015年8月、三菱地所は東京駅の北側、大手町と八重洲にまたがる「常盤橋街区」に総額1兆円を投じる再開発プロジェクトを発表した。不動産関係者が驚きの声をあげる。
「ついに三菱が丸の内の外にまで進出を始めた。この先も東京駅周辺はさらなる争奪戦が繰り広げられるだろう」
3大グループは、いまなお切磋琢磨し、拡大を続けている。そうした覇権争いの特徴は、単なるビジネスや利益の奪い合いではなく、「プライド」を懸けたせめぎ合いでもあることだ。その「プライド」こそ「財閥力の源泉」といえるだろう。
※週刊ポスト2016年5月6・13日号