国内

増える「不謹慎狩り」 炎上は0.1%のクレーマーによるもの

インスタの写真が批判を浴び削除した長澤まさみ

 熊本地震後、芸能人など知名度のある人のSNSを見て回り、「不謹慎だ!」と注意する、いわゆる「不謹慎狩り」が増えている。

 長澤まさみ(28才)は14日夜、女優のりょう(43才)らと一緒に撮った笑顔の写真をインスタグラムに投稿。普段であれば何気ないショットなのだが、批判的な書き込みが寄せられて写真を削除した。福岡出身の西内まりや(22才)もツイッターで応援メッセージや情報提供を繰り返したが、自撮り画像付きのツイートが「不謹慎」と指摘されて、投稿の一部を削除している。

 井上晴美(41才)は熊本の自宅が全壊。悲惨な被災状況をブログで綴っていたら、《愚痴りたいのはお前だけじゃない》などという誹謗中傷が多数書き込まれ、ブログの更新はストップした。コラムニストの小田嶋隆氏が言う。

「芸能人など、社会的に目立つ人の足を引っ張ろうとする人は最近になって出てきたわけではありません。昔から成功者や能力の高い人のことを妬み、コソコソと悪口を言っている人はいました。そういう未熟な人たちが、ネットの匿名性の中で力を持ってきたのが、今の社会なのです。

 ベッキーさんの不倫騒動も、あれほどネットで大きく叩かれたのは、彼女自身が人気者で、清廉な人のように振る舞っていたことに原因がある。彼女のような成功者を、ネットを使って倒そうというのを娯楽としてやっているように感じます。総じて、芸能人はそうした攻撃の対象になりやすいのです」

 評判を気にする芸能人は批判に弱い。炎上するとすぐに謝罪をして、“自粛”に入る。そのことがさらに社会全体に暗いムードをもたらすことになる。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が指摘する。

「売名批判や不謹慎狩りでネットが“炎上”すると、世の中の大半の人がそうした意見なのかと思いがちですが、実はほんの一部の意見でしかないことが多い。実際には1000人に1人のネットユーザーがクレームをしつこく書き込むだけで、“炎上”状態になってしまうという研究があります。叩かれる側が過度に気にすることはないのですが、芸能人も所属事務所も過敏になっているのが現状です」

 たった0.1%の人のクレームで炎上する―批判的な内容を書き込んだネットユーザー自身は無自覚かもしれない。しかし、何気ない「え? それって売名?」、「今笑顔の写真はマズイでしょ」といったふとした「不寛容なつぶやき」が、炎上という現象を招き、社会全体に暗いムードをもたらしてしまうことがあるのは事実で、それがSNS時代の恐ろしさだ。一度、相手の立場に立てばわかるはずなのに、想像力が欠如しているのかもしれない。

 熊本地震の爪痕は深く、被災地は厳しい状況に置かれている。日本全体でほんの少しだけ寛容な気持ちを持つこと。それだけで不要な炎上をさけることができるのではないだろうか。

※女性セブン2016年5月12・19日号

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト