2人の関係を考えても「歌丸のあとは円楽しかいない」というのが落語界の共通認識だ。テレビでは歌丸の悪口ばかり言っている円楽だが、「桂歌丸を人間国宝にする会」を立ち上げるなど尊敬の念が強く、歌丸も円楽との二人会を数多く開いて口の悪い後輩を格別に引き立ててきた。
その背景には、笑点の司会を引き継いだ故・五代目三遊亭円楽から歌丸に託された「遺言」があったのだと、落語関係者は明かす。
「歌丸師匠は先代の円楽師匠が亡くなる際、『あとは頼む』と託されていたそうなんです。その『あと』というのは、笑点の次の司会を頼む、というだけでなく、『楽太郎(現在の円楽)のことも頼む』という意味だと歌丸師匠は受け取ったようです。だから、『円楽師匠から受け取った司会を、円楽に返す』という感覚なのでしょう」
後任の司会者について日本テレビは「近日中に発表できるように調整しています」と回答した。それにしても、円楽の歌丸への「毒舌」が見られなくなるのは寂しい。
※週刊ポスト2016年5月20日号