ベストセラー写真集を連発した写真家・野村誠一氏が「この子は売れる」と目をつけた女の子は、次々と人気者になっていった。
「僕がこの子は売れる、もっと売れるはずだと判断する基準は、唇がセクシーかどうか。その子の持っているポテンシャルは、唇のエロティックさに比例します。だから僕はメークさんに、リップはモデルが本来持っている質感がわかるような薄紅色で、グロスなどで艶が出るようにお願いします。そして吐息が漏れているように唇を少し開けてもらうんです。唇が一番印象的だったのは細川ふみえちゃん。吸い込まれるような唇でしたよ」(野村氏)
野村氏も唇の持つエロスをあえて意識して写し出してきたという。では、これまでに最高にエロスを感じたボディの持ち主とは誰なのか。
「和久井映見ちゃん。彼女の体、ホントすごい。とくに胸。実はすごい迫力があるの。職業柄いろいろな女性を見てきたけど、スタイルでいえば間違いなくナンバーワン。あの童顔と体とのギャップは忘れられません」
そう話す野村氏がグラビア界を席巻したバブル期は、年間の3分の2が海外ロケだった。
「矢田亜希子ちゃんとはロスから出発して砂漠をメーンに撮り歩きましたね。ロケバス3台をチャーターして、1台はメーク専用。発電機も積み込んでね。過酷なロケでしたが、亜希子ちゃんは嫌な顔ひとつせず、とても素直な子でしたね」
浮世離れしていた当時、一色紗英の撮影では赤道直下の島々を巡り渡るというプランまで浮上した。
「皆で本気で考えて、世界地図を広げて赤道上の島を調べたんですが、意外に少なくてやめちゃいました。それでも、ニューヨークやイギリスで撮影。今じゃ考えられない贅沢だよね」
※週刊ポスト2016年5月20日号