ライフ

「時をかける少女」映像化で炎上 筒井康隆が再びブームか

コレクション刊行記念イベントでの筒井康隆氏

  ドラマ『時をかける少女』(日本テレビ系列)の7月放映が報じられたとたん、ネットでは「またアニメの実写化か」とつぶやく人と原作や旧映像作品を知る人たちとの間で論争が起きた。『筒井康隆コレクションVフェミニズム殺人事件』(出版芸術社)刊行記念イベントで「炎上していたねえ」と笑った原作者の筒井氏は、「50年も前の作品だが、よく働く『銭をかせぐ少女』だね」と9回目の映像化に感慨深げだ。映像化だけでなく近年は旧作、新作ともに刊行や増刷が相次いでおり、世代を超えた筒井ブームが起きつつある。

『時をかける少女』は、1965年に中学生向け学習雑誌で連載を始めた筒井康隆氏による少年少女向けSF小説。1972年にNHKで初めてドラマ化されて以来、1983年に原田知世が主演した大林宣彦監督作品や2006年の細田守監督によるアニメ映画など、9回にわたり映像化された。その時代のアイドルが演じてきたヒロインは前出の原田以降、南野陽子、内田有紀、安倍なつみ、仲里依紗に続き、今回は黒島結菜がつとめる。

 デビューから50年を超え、筒井氏自身が81歳の今、なぜ再ブームが起きつつあるのか。ミステリ・SF研究家で前出『筒井康隆コレクション』の編者でもある日下三蔵さんは、「旧作のリバイバルと話題の新作、ふたつの事象が重なったことが今の状況につながっていると思います」と分析している。

「1980年代まで、筒井作品の多くはいつでも書店で買えるものばかりでした。ところが、出版社が在庫をあまり持たなくなり、1997年に消費税率が5%に上昇し外税表示になったことで書籍の価格を表示するカバーをかけ替えねばならなくなったなどから経費削減がすすめられ、一部の大ベストセラー以外は次々と絶版になりました。その流れに筒井作品も飲み込まれたのです。この数年、失われたそれらの作品が次々と復刻されています」

 前出のコレクションは2014年11月から刊行が始まり、現在5巻まで刊行。2015年3月には丸善ジュンク堂書店限定で1970年代に書いたエッセイ集『狂気の沙汰も金次第』、短篇集『おれに関する噂』が復刻。1994年に文庫が発売された『旅のラゴス』はもともとロングセラーだったが、ネットでの口コミを中心に評判が広がり、2014年から売れ行きが急伸して年間10万部を超える増刷がかかった。

関連記事

トピックス

店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン