参院選以上に安倍首相の解散判断に影響があるとされるのが衆院選の調査だ。ただし、衆院は参院選と違って民進党と共産党の候補者一本化は何も決まっていない。そのため選挙区の情勢分析は大きく加工されている。自民党選対幹部は、「衆院でも各選挙区で民進、共産の野党候補が一本化され、共産票が全部民進党候補に加算されるという最悪のケースで検討している」と明かす。結果は、自民党は「20~40議席減」の可能性があると報告された。
前回総選挙の得票で計算しても、民進と共産の得票を合わせると馳浩・文部科学相が苦戦、副大臣は11人が逆転や接戦となる。
安倍首相にとっては“衝撃のデータ”ではなかったか。前出の自民党幹部が語る。
「菅官房長官が調査結果をもとに、『衆院では自公でせっかく3分の2以上の議席を持っているのに、ダブル選挙で衆院の議席を大きく減らせば元も子もない。リスクが大きすぎる。参院選だけに集中すれば十分に挽回できます』と総理に解散見送りを強く進言した」
首相説得の格好の材料になったことがわかる。
※週刊ポスト2016年6月10日号