各チームが18試合(3連戦×6カード)を戦う2015年のセ・パ交流戦を昨年制したのは12勝6敗のソフトバンクだった。パ・リーグ球団が上位5チームまでを独占し、61勝44敗3分け。各球団が揃って“黒星貯金”に励んだセ・リーグは交流戦終了時に全チームが勝率5割以下になるという異常事態に陥った。
では、今季はどうか。「今年は去年以上にパ・リーグが圧勝する」というのは野球評論家・江本孟紀氏。
「セ・リーグはガタガタにやられるだろうね。パが全カード2勝1敗で勝ち越すペース、トータルでパの72勝36敗くらいの差がついておかしくない」
そんな“パ高セ低”がどんどん進む背景には、そもそも交流戦そのものに対するモチベーションの差があると江本氏は手厳しく指摘する。
「交流戦が始まった理由の一つに、パ・リーグの試合に客が入らないというのがあったわけで、セ・リーグの選手からしてみれば、“(交流戦を)10年以上やって自前の客も増えたやないか。もうエエやろ”という気持ちがある。やる気がないんですわ」
2005年の創設以来11回の交流戦で、セのチームが優勝したのはリーグ3連覇中だった巨人の2012年と2014年の2回のみ(2013年は3位)。全1692試合でパの通算865勝774敗53分けと、実に“45.5ゲーム差”がついている。
今年、これまでを上回る差がつくと予想する理由として、江本氏はパ球団の投手力の充実を挙げる。
「パにはストレートで押せるタイプのピッチャーが充実している。ソフトバンクの武田(翔太)やバンデンハークがわかりやすい例です」
昨季、強力打線でセを制したヤクルトが、日本シリーズで2人にきりきり舞いさせられたのは記憶に新しい。今季は2人ともすでに6勝(5月26日時点、以下同)をあげてハーラートップで並ぶという前年をしのぐ充実ぶりだ。
とくに昨年は外国人登録枠の関係で交流戦に1試合しか登板できなかったバンデンハークはフル稼働が予想される。
「日ハムの大谷(翔平)も、パの打者がストレートのスピードに慣れてきたことで今季2勝と苦しんでいますが、あの160キロはセの打者にはまず打てない。セの打者相手なら完全試合の可能性だってあると思いますよ」(江本氏)
※週刊ポスト2016年6月10日号