日本の家電メーカーの不振が昨今多数報じられているがその一方、人口が増え、経済発展を続ける新興国を中心に、「日の丸家電」の存在感が増している。定評のある技術力と細かなニーズへの対応力が現地の消費者に支持されているのだ。
●洗濯機
インドでは民族衣装サリーが洗える洗濯機が好評だ。インドの伝統衣装サリーは普段着でもあり頻繁に洗濯する必要がある。しかし、従来の洗濯機では生地が傷んだり、汚れが落ち切らないなどの不満が出ていた。パナソニックはさまざまな生地のサリーを研究し、最適な水流の強さにたどり着いた。インド人の平均月収の1.5~2倍弱と高価なものの売れ行きは好調だ。
インドネシアでは洗濯機を使うときでも、いまだに襟や袖口はブラシで入念にこすり洗いをする。パナソニックは本体に洗濯板をつけた洗濯機を発売したところ大ヒットした。
● 炊飯器
日本の炊飯器はどんな米でもうまく炊けると評判だが、そこに胡座をかかないのが最近の日の丸家電だ。
タイではトムヤムスープや、煮込み料理が簡単にできる「スロークック」機能をもつ炊飯器を日立アプライアンスが発売。タイ米も日本米もおいしく炊ける炊飯器本来の性能も高いと人気になっている。
※SAPIO2016年6月号