「ヘルシーメニューを作ったり、割引クーポンを配ったりするだけでは女性の足は吉野家に向きません」と指摘するのは、前出の重盛氏だ。
「よく言われていることですが、吉野家が本気で女性客をターゲットにしたいなら、隣のオジサン客との距離も近いカウンター席を改良し、相手の顔が見えないよう外を向いた『おひとりさま用』のカウンターやテーブル席を増やさなければ、なかなか女性は店内で安心して食べられないでしょう。
また、昔から対面で牛丼を販売するのが吉野家の王道とはいえ、ラーメン店など他業態でも成功しているように、券売機を設置して女性客の『注文する恥ずかしさ』を省くようなスタイルに変更することも考慮したいところです」(重盛氏)
餃子の王将が女性客を狙ったカフェ風のオシャレな店舗を出店して話題を呼んでいるが、吉野家にも女性客が入りやすい店の構造やイメージの刷新が求められているというわけだ。
もちろん、アイデア次第でチョイ飲みの女性客を増やすチャンスも広がるだろう。
「例えば、1階と2階がある店舗ならば、時間帯を区切って2階は女性専用にするとか、レディースデーを設けて女性の飲み客へのサービスを手厚くするなど、いろいろな取り組みをしてみるのも手です。
どの戦略が女性の心に届くか分かりませんが、女性が吉野家に足を向けない理由、ハードルを一つずつ低くしていく工夫は必要だと思います」(重盛氏)
「低価格ファストフード」という業態から徐々に脱却を図る吉野家。過去の成功体験を捨て、今後どんな進化を遂げるのだろうか。