国内

稲田朋美・山尾志桜里 待機児童問題で激論交わす

待機児童問題について激論を交わす稲田朋美議員と山尾志桜里議員

「保育園落ちた。日本死ね!!!」のブログで大きなうねりとなった待機児童問題。国会で安倍晋三首相を鋭く追及した山尾志桜里議員の働きもあり、3月末に政府はミニ保育所の定員を引き上げるなどの緊急対策をまとめた。その後、民進党は保育士の月給5万円アップ法案を国会に提出したが、政府の「一億総活躍プラン」は、保育士給与の引き上げは月約6000円で、ベテラン保育士のみ月約4万円アップとした。

 このような待機児童問題について、自民・民進の政調会長・稲田朋美氏と山尾氏に意見を交わしてもらった。

稲田:「女性の活躍」を政策の中心に据えた安倍政権では、保育の受け皿拡大を民主党政権の倍以上のスピードで進めています。保育士の待遇も今の政権で7%アップし、今後も2%上げていく。緊急対策を作ったのも、今困っている人を救うためです。

山尾:その緊急対策に当事者のお母さんや保育士から大きな不安の声が出ています。自治体の基準を下げ、子供を1人でも2人でも多く入れるという内容ですが、残念ながら昨年だけで14人の赤ちゃんが保育事故で亡くなりました。そんな状況で保育士1人が見る子供の数や子供1人あたりに必要な面積を下げるのは、緊急とはいえ本当の解決ではないと思います。

稲田:おっしゃるように単に量を増やすのではなく、質の確保も大切です。でも今は、認可保育所に入ると安くてサービスもいいけど、認可外保育所だと高くて質も認可保育所ほどよくない。格差が大きいので、緊急対策として国の基準を満たした保育所に入ってもらおうということです。

山尾:保育士の待遇の問題はどうですか。現在、全産業の労働者と比べ保育士の平均給与は11万円も低い。民進党はこれを5万円アップする法案を提出しましたが、与党は審議拒否して緊急対策をまとめました。本来、与野党が正々堂々と議論すべきだったのに。

稲田:保育士の処遇改善は法律がなくても財源さえあればできるんです。民進党の法案を審議していないのは認めますが、安倍政権で保育士の処遇は着実に改善されています。そこは理解してほしい。

山尾:安倍政権が何もしていないとは言いませんが、ずっと減っていた待機児童の数が2015年に増えたのは事実です。そもそも、2万3000人とされる待機児童の実数が怪しく、当事者であるお母さんたちに話を聞くと、「育休を延ばしたら待機児童のカウントから外れた」「家でネットを使って仕事をしているので待機児童にならない」と言います。そういう人を含めたら、実は2万3000人にプラスして6万人も待機児童が増えるそうです。隠されている待機児童の数も表に出すべきです。

稲田:安倍政権で女性の就業者は100万人以上増えたし、女性が働きやすい環境をつくるため、女性活躍推進法が成立しました。保育所の受け皿も50万人分を予算として確保しています。保育士の処遇も上げ、財源を確保しつつ待機児童問題に優先的に取り組んでいます。

――政府の調査では、賞与を含む女性保育士の平均賃金は月26万8000円で全産業の女性労働者の平均より4万円以上低い。5月16日の衆院予算委員会で安倍首相は、「月額4万円を踏まえて、賃金差がなくなるよう保育士の処遇改善を行う」と述べた。保育士の平均給与と女性労働者の平均給与を比較して政策目標とする安倍首相に対し、山尾議員は国会で「男尊女卑だ」と怒りをぶちまけた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
中途採用応募者が急に増えて担当者は困惑(写真提供/イメージマート)
《SNSの偽情報で実害》中途採用に「条件満たさない」応募者が激増した企業、勝手にFラン認定された大学は「少子化の中、学生に来てもらう努力を踏み躙られた」
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン