「相手が人間とわからず、熊が近づいてくるケースがあります。その場合、両手を挙げてできるだけ体を大きく見せながら、人間がいることを熊に知らせましょう。気づけばほとんどの熊は離れていくはずです。熊が困惑している様子ならば、穏やかにやさしく語りかけることも効果的です。そこで熊が動くことをやめたら、背中を見せずにゆっくりと後ずさりし、静かにその場を離れましょう」(大井代表)
それでも近づいてくる熊には人間を攻撃する意志があり危険だ。熊が数メートルまで近づいてきた場合、「熊撃退スプレー」を持っていれば、迷わず一気に噴射する。もし熊撃退スプレーがなく、熊が攻撃をしかけてきた場合はできるかぎり反撃したい。
「周りに木材や石など武器になるようなものがあれば、すぐに手に取る。武器がなくても全力で抵抗することです。こちらが反撃の意志を見せ、少しでも相手にダメージを与えられたら熊があきらめて退散するケースもあります」(大井代表)
万が一、押し倒されてなすすべがない場合でも諦めてはいけない。
「後頭部から頸部、腹部を攻撃されると致命傷になるので、地面にうつぶせになって顔と腹部を守り、両手を頭の後ろで組んだり、リュックサックなどで頭と首をガードします。熊は人間が自分を攻撃する意図がないとわかればその場を立ち去ることが多く、一時の攻撃さえやり過ごせば生き延びられる可能性があります」(大井代表)
なかなか勇気のいることではあるが、「死んだふり」ではなく、「生き残る」ための強い意志が必要だ。
※女性セブン2016年6月30日号