ゴミ分別に「慣れた」「環境のため」と話す住民が多かった。しかし一方で、こんな声も聞こえてきた。
「正直、細かすぎて面倒くさい。何せ年寄りですから、ビンのラベルを外したり牛乳パックを切ったりするのが大変で大変で…。あまりにも面倒な時は自宅の庭で燃やしています」(74才の男性)
ゴミを出せる時間は7時半から14時。しかも場所が限られているため遠方なのに車が運転できなかったりするとゴミを捨てに行けない。
67才の女性は近所に住む息子に頼むことが多いと話す。
「単身で頼れる人がいなくて寝たきりといったどうしても捨てに行けない人には2か月に1度収集車が来るものの、車を持っていたり息子が近くに住んでいたら、たとえ夫が体を壊して運転できなくても“捨てられる”とみなされて取りにきてくれないよ」
分別しすぎることの弊害は高齢者にはあまりにも大きくのしかかっていた。これもまたこの国の歪みといえよう。
ちなみに、自治体がゴミを集めに来てくれないのは問題ではないか、との声もあるが、これだけ分別されたゴミを回収するには膨大なコストがかかる。
「分別してゴミを減らすという取り組みはいいことだと思います。ただ、上勝町と同じことを大都市でやるのは不可能ですが、ある程度は必要なので、10種類程度は必要だと思います。いずれにせよ、国が一定の指針を示すべきです」(杉本さん)
※女性セブン2016年6月30日号