共同と手を組む可能性が高いといわれているのが、長らく経営難が囁かれてきた毎日新聞と産経新聞だ。両紙はともに共同の加盟社。毎日は52年に読売、朝日とともに共同の加盟社から脱退していたが、2010年に58年ぶりの再加盟を果たしたばかりだ。
「社内では、支局の人員整理などを睨んだ再加盟だといわれています。加盟後、社会面や選挙関連情報は共同発の記事が毎日のように紙面を飾っていて、さらに依存度を高めれば、支局の統廃合などの抜本的な改革も可能になると囁かれています」(毎日新聞・40代記者)
産経と共同の関係もまた良好だ。
「産経は共同にとって主要な加盟社。以前、産経が大幅な契約料の値下げを求めた際にも共同は応じており、両者の蜜月は新聞業界では広く知られている。産経は大株主であるフジテレビの絶不調が痛い。グループ内の稼ぎ頭だったフジテレビの失速でグループ全体として産経を支える余力がなくなっている。『アンチ読売』陣営として、共同と組む可能性は十分ある」(フジ関連会社幹部)
◆読者のメリットとは?
注目を集めるのが朝日の出方だ。朝日関係者に取材すると、「本業の減収分は不動産事業で稼ぐからどことも組む必要はない」と自信をのぞかせる。
「ツインタワーが売りの大阪の新本社ビル(中之島フェスティバルタワー)のもう一棟が2017年に完成すれば、テナント収入だけで年間100億円が入る算段です。同じく2017年には東京・銀座の一等地に、高級外資系ホテル『ハイアット セントリック』が入居する12階建てのビルも完成予定。他にも有楽町マリオンをはじめ、都心に優良不動産を所有しているため、不動産事業進出の“含み益”は大きいと社内では噂されている」(朝日新聞幹部)
そのため、しばらくは、再編した2グループの動きを静観する構えだと見られる。
※週刊ポスト2016年7月8日号