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ネットニュースの荒れるコメント欄は学びの場である

 たとえば、7月1日8時15分にアップされた〈放送中に「痛い」聞こえた 宮地容疑者の番組リスナー〉という朝日新聞デジタルの記事。14時過ぎの時点で、2200以上のコメントが付いています。多くは、長年親しんできたラジオパーソナリティが起こした事件を驚き、嘆く声ですが、そればかりではありません。このニュースのコメント欄は、こんな「学び」や「気づき」を授けてくれます。

1.世の中には、自分がぜんぜん知らないことにも首を突っ込みたがる人が多い

2.世の中には、出所不明の適当なデマを簡単に信じてしまう人が多い

3.世の中には、憶測でものを言って得意気な顔をしたがる人が多い

4.世の中には、何が何でも民族差別をしないと気が済まない人が多い

5.世の中には、記事をロクに読まないまま平気で意見を言える人が多い

 まず1.ですが、「この人のことは知らないけど」と言いながら、もっともらしいことを言っているコメントの多いこと多いこと。「知らないんだから、黙っていよう」という発想はありません。人の気持ちや行動は、自分の物差しでは判断できないということを教えてもらえて、ありがたい限りです。

 2.も、一時ネット上で「相手の女性アナウンサーが、容疑者の娘を侮辱するようなことを言った」というデマが流れたんですが、それをあっさり信じて「それは殴られても仕方ない」と言っている人の多いこと多いこと。3.も、単なる憶測なのに「俺が事件の真相を教えてやる」と言わんばかりの書き方をしている人の多いこと多いこと。人間の業の深さのようなものに気づかせてもらえて、ありがたい限りです。

 4.と5.については、このニュースの場合は、まだその手のコメントが少ないほうでした。5.は人はいかに面倒臭がりやなのか、そのくせ威張りたがりなのかを教えてくれるし、4.はそう言いたがる人たちが抱えている悲しさに思いをはせずにはいられません。言ってて悲しくならないのかなとも思いますが、悲しくならない人が多く存在するわけですよね。人の心の奥深さを感じさせてもらえて、とても勉強になります。

 そんな感じで、今日も「ヤフコメ」には、たくさんの教訓が山のようにチリのように積み上げられています。コメントを書き込んでいる人を「師」と仰ぐことで、どれだけ「学び」や「気づき」を得られるかが、大人の意地の見せ所と言えるでしょう。日々鍛錬を重ねれば、きっと宮本武蔵並みの強さを身につけられるに違いありません。

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