患者にとって医療費とは、病院の窓口で言われたとおりの金額を払うもので、「安くする」という発想自体に欠けている。しかし、実際には国や病院が教えてくれないだけで、医療費を安くする方法はいくらでもある。
たとえば大きな病院ほど医療費がかかると思われがちだが、大病院の方が小さな病院より安くなるケースがある。
糖尿病や高血圧症、不整脈などの生活習慣病では、通院2か月目以降、治療の際に「特定疾患療養管理料」、処方の際に「特定疾患処方管理加算」が加えられる。
「特定疾患療養管理料」は医療機関の規模によって細かく金額が分けられているが、その金額は、実は小規模な病院ほど加算される額が多い。19床以下の『診療所』が最も高くなる一方で、200床以上の『大病院』には加算されない。そのため、大病院に通院するほど医療費が安くなる。
そこで、大病院に通院しようとする患者が注意すべきなのは、「紹介状」の有無だ。日本医療事務協会の藤野京子氏が解説する。
「大病院を初めて受診する場合、医師の紹介状がないと、『選定療養費(保険外併用療養費)』を取られます。この金額は病院が自由に決められ、高いところでは5000~1万円かかります。かかりつけの病院では750円の診療情報提供料で紹介状を書いてもらえるので、紹介状の有無が大きな差になります。
もしかかりつけの病院がなくても、数回通った病院なら、『念のため、大病院でも診てもらいたい』と頼めば紹介状を書いてもらえるでしょう」
年を重ねれば、体の不調が至るところに現われてくる。複数の病気が心配な場合、同じ病院でまとめて診てもらうと得になる。
「同じ病院での診療なら、2科目の初診料が半額になり、3科目以降は無料になります。一般的な初診料は846円なので、異なる2つの病院を受診すると初診料は1692円。ところが、同じ病院での診察だと初診料は1269円と423円安くなります。ただし、同じ受診日であることが条件です」(同前)