「UMSにある放射線治療装置『スーパー・フォーカル・ユニット』は、植松さんらのグループが放射線治療装置とX線、CTスキャンなどを組み合わせて作ったもので、日本に1台しかありません。『サイバーナイフ』という同じような四次元装置もありますが、コンパクトなため線量に限界があり、大きさが4~5cm以上のがん細胞には難しい。その点、UMSの装置は強い照射も可能なので、大きながん細胞でも治療が可能。そんな優れた装置がなぜ日本に1台しかないかといえば、値段が高くなるのでメーカーが作らないからです」(田辺さん)
それゆえ、四次元ピンポイント照射療法を希望する患者は、鹿児島に出向くしかない。実際に治療を受けた経験のある40代男性が言う。
「大腸がんが見つかり、すでに他部位に転移していることがわかりました。医師からは“ステージIV。5年生存率は15%くらい”と告げられ、抗がん剤治療を続けながら最終的には手術で切除するという治療方針を示されましたが、知人の紹介でUMSを頼りました。
まずペットCTで検査を受け、がん細胞が発見された箇所数によって滞在日数が決まります。私の場合、当初の大腸のほか、肺にもがんが見つかりました。治療はだいたい1か所につき1週間弱ほどでした。
痛みはまったくありません。麻酔も打ちません。可動式ベッドに横になると、技師が腰にベルトを締めて固定。ベッドごと治療装置の下に持っていかれ、X線を照射される。照射時間は十数秒程度。トータルで5分くらいでしょうか。治療を受けた後も体調は変わらないですし、運動もできます。肺をやった時には少し筋肉痛のような感覚になりましたが、それほどの苦痛ではありませんでした。費用は150万円ほどで、プラス鹿児島での滞在費がかかりました」
体からはがんはもうなくなっているという。
UMSは完全予約制で、土日祝日関係なく、治療は毎日行われる。治療期間は1週間から3か月で、1回の治療時間は短くて5分、長くて小一時間ほど。UMSには入院施設がないので、患者たちは提携している病院かウィークリーマンション、ビジネスホテルなどに滞在して治療に通っているという。
UMSのHPには治療費についてこう書かれている。
《通常150万円から250万円ほどの自由診療》
四次元ピンポイント照射療法は健康保険適用外の自由診療のため、費用はかさむ。ただし、治療費が年間で300万円を超えると低額になり、500万円を超えるとそれ以降は無料になるという。
※女性セブン2016年7月28日号