これらの検査を受けられるのは、がんと診断され、治療が始まっている患者だ。申し込み後に説明を受け、納得したら検査を開始。2週間後に検査の結果と、治療方針に対する説明が行なわれる。
「結果によって、治療費の負担が異なります。遺伝子の異常が見つかり、それに対する新薬の治験が実施されている場合は、治験への紹介やエントリーを行ないます。この場合、治療費はかかりません。遺伝子異常に対応する薬剤がない場合には、従来の保険診療内の治療を継続することになります。もし、遺伝子変異に適合する分子標的薬があっても、保険診療の対象ではない場合は自費になります」(西原統括マネージャー)
例えば、HER2という遺伝子に変異が見つかった場合は、分子標的薬ハーセプチンの効果が期待できる。しかし、この薬は乳がん、胃がんは保険適用だが、ほかのがんの場合は自費となり、年間数百万円を超える治療費がかかる。
4月の開設以来、すでに40人近い人が検査を受けている。自身のがんの性質を知ることで、治療に迷いがなくなったと患者の反応も概ね良好だ。
これが普及すれば、分子標的薬に対する保険の適用を見直す必要があるかもしれない。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年7月22・29日号