学校側もそうした事態を憂慮して、〈売られているキットを使う場合も、自分の工夫をひとつは加えましょう〉〈工作の材料は日常生活で身近にあるものを選びましょう〉などと指導しているが、夏休み明けには、全く同じ市販の作品を提出する子供が続出しているという。
では、親の意識はどうなのか。前出の主婦のように、お助けキットの進化に戸惑いながらも、結局はそれに頼ってしまう親も多いという。
「もちろん家族旅行に行って、子供のユニークな好奇心や素朴な疑問に気づく親はいますが、そこで悩ませたり、自由研究のテーマとして一緒に考えてあげる“時間”が待てないのです。
これは世代間のギャップではなく、効率性ばかりを重視する社会のせいともいえます。とにかく無駄な時間を過ごせず、すぐに正解を求めようとする。国も自分自身で課題を見つけ、問題解決力を磨く教育改革をと盛んに言っていますが、現実には逆の方向へと向かっているのです」(前出・安田氏)
昨今、宿題代行サービスなどが活況を呈して問題になっているが、お仕着せの自由研究も全く意味がないことを、改めて考え直す時期にきているのかもしれない。