和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
風俗スカウトグループの取り締まりが厳しく行なわれるなか、捜査を行なう警察との癒着が社会問題になっている。11月には、国内最大のスカウトグループ「ナチュラル」に捜査情報を漏洩したとして警視庁暴力団対策課の警部補が逮捕されたばかりだ。
警視庁の捜査情報漏洩をめぐっては逮捕された警部補は懲戒免職処分となって起訴されたほか、当時の上司ら10人についても戒告や訓戒などの処分を受けた。
だが、2025年にはもうひとつ、規制対象と警察幹部の癒着が大きな話題となった。9月に「週刊文春」によって報じられていた“ソープタカり”警察官だ。
「あの男は警察の権限をチラつかせ、およそ8年間にわたってうちのソープランドをタダで使ってきました。『いつでも摘発される可能があるってのはわかっているよね』と脅され、何度も何度も……彼は依願退職で幕引きを図りましたが、果たして許されることなのでしょうか」
そう語るのは、和歌山市内にある老舗ソープランド「エンペラー」の元経営者・Aさん。“あの男”とは、かつて和歌山県警の幹部だったX氏である。警視庁のケースとは大きく異なり、同氏は本部長訓戒を受け依願退職の形となった。それには「処分が軽すぎる」という批判もある。果たして適切な処分だったのだろうか——何があったのかをAさんの証言をもとに振り返る。【前後編の前編】
冒頭のAさんが売春防止法違反(場所の提供)の容疑で逮捕されたのは、2025年5月のこと。過去には和歌山北署の署長も務め、当時「警視」階級だったX氏が、「規制対象業者との私的な交際」を理由に、本部長訓戒を受け依願退職したのは、その翌月のことだった。Aさんが語る。
「私が『エンペラー』を前任者から引き継いで、経営会社の社長になったのは2016年のこと。その前任者から『警察の知り合いの人がいる、相談に乗ってくれるよ』と紹介され、2017年頭に和歌山の繁華街にある居酒屋で知り合ったのがXでした。
その場には私と前任者とX、さらに当時退職していましたがXの先輩に当たる元県警の人物・Bさんがいました。飲食後に近くのクラブに移動し、Xの隣に座ると、Xは『前任者さんにはいつもお世話になっているんだよ』と話し始めたのです」
