「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相・岩屋毅氏
高市政権の発足から2か月。首相の「存立危機事態」発言は、日中関係にも大きな影響を及ぼしている。
中学生記者・川中だいじさん(15)は衆院議員・岩屋毅氏にこの話題を投げかけた。前外相は日中関係を揺るがした首相の発言をどう評価するのか。岩屋氏は話題になっている“台湾有事発言”に触れつつ、「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」についても自身の見方を示した。【全4回の第2回。第1回目を読む】
首相の存立危機事態発言は「中国に真意を説明して誤解を解くべき」
川中:高市政権の発足以降、大きな問題となったのが、台湾有事をめぐる首相の「存立危機事態」発言です。これについてはどうお考えですか。
岩屋:私は予算委員でもあるので、首相と岡田(克也)さんのやりとりをあの場で聞いていたのですよ。正直、ハッとしたことは事実です。
安倍政権時代だった2015年、安全保障に関する体系的な「平和安全法制」という法律ができたんです。存立危機事態はこれに含まれる概念で「日本と密接な関係の国が攻撃され、その攻撃がわが国の存立を根底から脅かす危険があるとき、日本が攻撃されていなくても限定的に集団的自衛権を行使できる」という内容です。要は、日本も一定の条件下で武力行使できる事態だと位置付けるものですね。
安倍政権以来、歴代首相は「どういう場合に存立危機事態になるか」という問いには一貫して答えていません。これまでの首相答弁は、「個別具体的な状況に即して、全ての情報を総合して判断する」というもので、「こうなったら存立危機事態とみなし、日本が武力行使をします」などとは、何を聞かれても言わないというのがこれまでの一貫した政府の姿勢です。
