“世界でもっとも楽しい幼稚園”ともいわれる幼稚園が、東京・立川にある。世界中の教育機関、そしてグローバル企業からの視察が殺到する、いま注目の幼稚園だ。『情熱大陸』(7月24日放映)にその「ふじようちえん」園長の加藤積一さんが登場し、より注目が集まっている。
おもしろいのはその園舎。ガラス張りのドーナツ型で、屋根の上を子どもたちがぐるぐると歓声を上げながら駆け回る。クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんと、建築家の手塚貴晴・由比さん夫妻が、園長の想いを、まさに共同作業で形にした。園舎自体が巨大な遊具、子どもが育つための“道具”になっているのだ。
そんなユニークな形の園舎のユニークな園長先生の心に響く子育て金言を紹介する。
金言1:「子どもは自分のできる限界を知っている」
例えば木登り。「木から落ちないでしょうか?」と心配する保護者も多いが、園長先生は、「大丈夫ですよ。落ちる子は最初から木に登りませんから」という。つまり、登ったことのない子が、いきなりひょいひょい高いところまで登っていくことはほぼない。子どもは自分が上れる高さから挑戦し、何度も失敗しながら徐々に高いところへと木登りをクリアしていくもの。どの子もしっかり遊んでいれば、自分の限界をわかってくるものなのだ。
金言2:「教えなければ教えないほど学ぶのが子ども」
「ふじようちえん」では、「子どもは自ら育つ力をもっている」というモンテッソーリ教育をベースに、自由な環境の中で、子ども自身が何をするかを選び行動することを大切にしている。先生など大人は「教える人」ではなく、子どもをしっかり観察して適切なアドバイスをする存在。自学自習の時間では、先生は「○○で遊ぼう」とはいわず、子どもたちは自ら「リレーごっこ」など自分たちオリジナルの遊び・ルールをつくりだして遊ぶ。教えないこと、それこそが真の意味での子どもの育ちにつながっている。
金言3:「雑音の中での集中力こそが一生使える集中力」
この園では、部屋を区切る「壁」をなくして、可動式のパーテーションで部屋を区切っている。両隣の部屋の音が筒抜けで聞こえてくる中で、自分の部屋では先生が話をしている。先生は普通の声の大きさで話し、子どもたちは集中して話を聞く。「大人も子どもも、聞こうと思うものしか聞かないし、見ようと思うものしか見ていないんですよ」と園長先生。そして、そもそも日常には雑音があふれているので、静かな環境での集中力より雑音の中での集中力を鍛えたほうが、大人になってから役立つと考えている。