日が沈みかけていた。チーム一の元気者、森實尚之がホームベース付近でアミュレットと呼ばれる首からぶら下げたお守りを握りしめ「おやしきり」を行っていた。
この所作は、学園の母体であるパーフェクトリバティー教団(PL教団)における「おやしきり(祖遂断)」という宗教儀式で、部員たちがアミュレットを握るもの。心の中で「お・や・し・き・り」と唱え、普段の力が発揮できるように祈りを捧げる。
落ち着いた頃を見計らって声をかけると、森實はこう話した。
「自分たちは、PLの信仰を通じて、野球をやらせてもらっていました。こんな苦しい状況でも、みなさんの応援と支援をいただきながら、頑張らせていただいたので、みなさんに感謝の気持ちを込めていました」
12人の夏は、こうして終わりを告げた。
※週刊ポスト2016年8月5日号