この年、4位に終わってCS進出を逃した阪神。翌2010年、金本はオープン戦で右肩を痛め、満足な送球ができない状態に陥る。それでも開幕19試合目までは出場が続き、同年4月18日の横浜戦で当時の真弓明信監督の決断により連続フルイニング出場記録は1492試合で途切れた。
そうした経緯があるだけに、鳥谷に関する質問に対して、“自分は温情で出続けたのに他人には厳しいじゃないか”という言外の意図を勘ぐったのかもしれない。
さらに金本監督の立場を複雑にするのが球団経営サイドの事情だ。
「ここまで鳥谷を使い続けてきた背景には、球団が連続出場の記録継続を望んでいたという事情もある。チームが多少は不調に陥っても、鳥谷のグッズが一番よく売れるし種類も多い。営業的に見れば、鳥谷をスタメンから外すことに反対の声が大きい」(球団関係者)
一方で、鳥谷の扱いを巡ってチーム内に不協和音が聞こえていた。
「6月18日の交流戦(ソフトバンク戦)では、7回の攻撃でそれまで2打席三振を喫していたゴメスに、来日初となる代打が送られた。そのゴメスは、不振でもフルイニング出場を続ける鳥谷について“日本人ならいいのか、キャプテンならそのまま打たせてくれるのか”と不満を周囲に漏らしていた」(前出の担当記者)
※週刊ポスト2016年8月12日号