国内

変わりゆく中学入試 集団で「おもてなし」考えさせる問題も

思考力テストを重視する「かえつ有明中・高等学校」(HPより)

 長い夏休みもそろそろ終盤。私立中学を目指す受験生にとって、9月からは模試が頻繁にあり、学校説明会に足を運ぶことも多くなるだろう。

 そうした行動を起こす前に、「2016年度から中学入試に大きな変化が起きていることを知っておいたほうがいい」と話すのは、安田教育研究所代表の安田理氏だ。これまでの受験勉強では通用しない、私立中学のユニーク入試問題を解説してもらった。

 * * *
 まず2016年度入試は2つの点で大きな特徴があった。一つはリーマンショック以降下がり続けていた受験者数が500名ほどだが増加したこと。受験者数が増えた背景としては、2020年から大学入試が大きく変わるとされていることが大きい。

 実施面では具体的にどうなるか、未だ不透明な部分は多いが、出題の内容が「知識・技能」から「思考力・判断力・表現力」が重視される方向へ、英語が4技能必要とされる方向へ動くとされている。そうなると6年間ある中高一貫校が有利ということで、中学受験を選んだ家庭が多かったのだ。

 実は大学入試改革や次期学習指導要領の検討内容(小5から英語の教科化、アクティブラーニング<受け身でなく主体的に学ぶ姿勢への転換>など)が入試そのものも大きく変えた。

 英語入試、思考力テスト、ポテンシャル、リベラルアーツ、一能一芸、志、自己決定……、名称からは中身が分からない入試が急増したのだ。ひと言でいえば、「わが校は進学塾に通っていなくても受験できますよ」「わが校は教育の新しい動きをきちんと踏まえていますよ」という意思表示の入試スタイルである。

 もう一つ、大学入試改革の論議を通じて旧来型の知識・技能中心の学力ではこれからのグローバル社会に対応できなくなるという学力観の変化である。思考力テストはそうした中から生まれたものと言っていいだろう。その一例を、「かえつ有明」の問題に見てみよう。

【問4】(1)「おもてなし」とは、どういうものなのか話し合ってください。(2)このグループで実際にやってみたい「おもてなし」をひとつ作ってください。できあがったら「グループのおもてなし」と書かれた紙にまとめてください。

【問5】グループで考えたおもてなしは、選手に拒否されてしまいました。(1)その理由はなぜだと考えられますか。(2)あなたは、「おもてなし」をどのようなものだと考えますか。

 問3までは自分の考える「おもてなし」について聞いている。問4ではグループをつくらせ話し合わせている。中学受験であるから、初対面同士がいきなりグループをつくるわけである。さらに問5では、2020年の東京オリンピックも見据え、選手の立場で考えることを求めている。

 従来だと問3まで、自分の意見を書かせることで終わっていた。初めて会った別々の小学校出身者でグループをつくらせ、相手側の立場に立つことも求めている。まさに学校がこれからのグローバル社会を生きて行くうえで必要な資質を入試でも要求しているのである。

 いったい採点はどうしているのか、疑問を持たれた方もいると思う。私も、「これだとおしゃべりな女子が有利になるのではないか」と思い、学校に問い合わせてみた。

(1)他人の話をきちんと聴いているか(2)課題に即した話ができているか(3)他人の意見を踏まえて意見を言っているか(4)意見にオリジナリティーがあるか──

 といったカテゴリーを事前に設定しておき、それぞれがどのレベルにあるか、という判定の仕方をしているという回答であった。

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン