ライフ

名古屋人のトラウマ 1992年3月14日の「屈辱の朝」

のぞみが名古屋駅を通過した「事件」も(写真は300系)

 昨今話題の書『京都ぎらい』(朝日新書)より潜在数は多い(!?)とも言われる「名古屋ぎらい」な人々。“見栄っ張り”と言われる名古屋人には、実は大きなトラウマがある。それが「名古屋飛ばし」である。

 発端は1987年に遡る。マドンナとマイケル・ジャクソンという大スターの初来日コンサートが横浜や大阪、福岡で公演されたが、なぜか名古屋が飛ばされてしまったのだ。この屈辱に多くの名古屋人が震えたが、最大の“事件”はその4年後に起きた。

 1991年11月、運転開始を翌年に控えた東海道新幹線「のぞみ」の下り1番列車が、名古屋駅を「通過する」と報じられたのだ。この“悲報”に地元は大騒動となった。『名古屋あるある』の共著者で名古屋出身の川合登志和氏が振り返る。

「この時の名古屋人の怒りようは凄まじかった。名古屋を通過するという発想自体がありえない話で、地元では“社会問題化”しました」

 名古屋を通過する新幹線は早朝のたった1本のみだったが、地元政財界は猛反発。しかし、ダイヤは変更されず1992年3月14日に名古屋人は“屈辱の朝”を迎えた。

「この日、地元テレビ局は通過の瞬間を生放送し、局アナが『これは名古屋に対する冒涜でありましょうか!』とまるで“事件報道”のように実況した」(川合氏)

 そんな名古屋人が期待に胸膨らませるのが2027年に東京~名古屋間で開業予定のリニアモーターカーである。もしここで、忌まわしき「名古屋飛ばし」が起きたらどうなるだろうか? 川合氏は続ける。

「流石にないでしょうが、万が一また飛ばされるようなことがあれば、かつてない大暴動が起きるはずです(笑い)」

※週刊ポスト2016年8月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト