ライフ

全国に点在する「勝手踏切」は2万弱 廃止封鎖が進まぬ理由

東海道本線に残る勝手踏切

 近年、交通渋滞の原因などと言われ、廃止が相次いでいる踏切。全国にはまだまだ数多くの踏切が存在している。先ごろは、京都府宇治市が市内に5か所ある勝手踏切と呼ばれる非正規踏切を封鎖したことが話題となった。『踏切天国』の著作があるフリーライターの小川裕夫氏が、とかく邪魔者扱いされがちな踏切の歴史と今についてリポートする。

*    * *
 鉄道マニアには、たくさんの種族が存在する。乗るのが好きな乗り鉄、写真を撮るのが好きな撮り鉄、模型をこよなく愛する模型鉄etc…。それだけの派閥が形成されて複雑化している鉄道マニアなのに、さらに同じ乗り鉄でもJR派、私鉄派、SL派、貨物列車派といったように細分化されている。撮り鉄も同様だ。

 鉄道マニアがカバーする範囲は、とてつもなく広く、深い。それでも、絶滅危惧種のような派閥も存在する。それが踏切に魅せられている派閥だ。

 一般人にとって、踏切は「開かずの踏切」に代表されるようにイラっとさせられるといった印象を抱きやすい。また、鉄道マニアにとっても踏切は興味の対象になりづらいらしい。車両や駅舎を撮影している撮り鉄は頻繁に見かけるが、踏切を撮影しているマニアを見かけることはほとんどない。

 一般人にも鉄道マニアにも見向きもされない踏切だが、生活に密着しているという点では車両や駅と同等に存在感は大きい。

 7月28日、京都府宇治市はJR奈良線沿線にあった勝手踏切を半強制的に封鎖した。勝手踏切とは、鉄道事業者や道路管理者が設置した正式な踏切ではなく、地域住民が往来を便利にするために自分たちで設置した私設の踏切のことをいう。

 従来、線路と道路の交点に設置される踏切は、個人が自由に設置することはできない。それどころか、道路交通法によって正式な踏切でも新しく設置することは原則的に禁止されている。最新の踏切は、2010(平成22)年に阪急電鉄の西宮北口駅の南に特例的につくられた踏切で、近年は数えるぐらいしか踏切は新設されていない。

 正式な踏切でさえ新しく設置することは難しいにも関わらず、なぜ勝手踏切は存在するのだろうか? その理由は、昭和30~40年の割とおおらかな時代につくられて、それが長年にわたって慣習的に利用されてきたからだ。

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン