銀行預金の引き出しや不動産の更新時、携帯電話の契約、スポーツクラブの入会など、生活の様々な局面でことあるごとに要求される「手数料」。何気なく支払っているが、よくよく調べてみると「なぜ払わねばならないのか」「なぜその金額なのか」の根拠は理解しかねるものばかりだ。
民間以上に手数料ビジネスに熱心なのがお役所だ。まずは運転免許証。フランスやドイツなどでは一度取得すれば違反がない限り無期限有効だが、日本では3~5年での更新が義務づけられ、その際には全国一律で2500円の更新手数料がかかる。2005年に情報公開請求で更新手数料の内訳を調べた交通ジャーナリストの今井亮一氏が話す。
「当時の更新手数料は2100円でした。が、内訳は1350円が『人件費』、750円は『物件費・施設費(講習に使用する会場代)』でした。1人の免許更新業務にかかる時間は22分ということだったので、時給換算すると3700円にもなります。人件費については都職員の人件費を基準にしているとの説明でした」
そもそも職員は我々の税金で給料を得ている。さらに更新手続きで人件費を受け取るのは給料の二重取りではないか。
海外旅行に欠かせないパスポートも10年旅券で1万6000円の手数料がかかる。このうち、1万4000円が国に、2000円が発行する都道府県に入る。
何のコストなのか外務省に聞くと、「冊子の実費と間接経費です。有事に際して邦人保護が受けられ、国際的な偽変造対策も講じているので高いとは考えていません。手数料は5年に1度仕様を変えるなどの偽造対策にも使われています」(旅券課)とする一方で、「費用の内訳については明確化していません」(同前)という。