福沢諭吉生誕の地・大分県中津市は、からあげ店がひしめく激戦区であるため、「からあげの聖地」としても知られている。
市民にとってからあげはソウルフード。地元の主婦も、「食事はもちろん、10時や3時のおやつにもよくからあげを食べます。1キロ買うこともざらです」と話す。専門店では揚げたてを提供するため、買ってすぐ店内で食べる人も多い。
訪れたのは、「からあげグランプリ」で最高金賞に輝いた『元祖中津からあげ もり山』(塩ダレ部門)と、『からあげの鳥しん』(しょうゆダレ部門)。
全国区の超人気店とあって、地元客のみならず観光客でも賑わっているが、今年は4月の熊本地震の影響もあり、例年よりも県外からの客足は遠のいているのだとか。
「揚げたてのおいしさは格別。多くの人を迎えられるよう、九州の人間は一生懸命、元気にやっています」(『もり山』森山浩二代表)
震災後に中津のからあげ仲間が集まり熊本市内で炊き出しを行ない、人々を笑顔にするからあげのパワーを実感したという。心をつなぐ「復興のからあげ」。是非、現地で本場の味を楽しんでほしい。
撮影■中西ゆき乃 取材・文■渡部美也
※週刊ポスト2016年9月9日号