フリーメイソンとは何か。その起源に定説はない。古代ユダヤ民族統合の象徴である「ソロモン神殿」を建設した職人集団とする説もある。中でも有力なのは、城塞や教会などの建築技術を口伝した中世ヨーロッパの石工組合が起源とするものだ。
1717年6月にロンドンで4つのロッジが、個々のロッジを束ねるグランドロッジを結成して“近代フリーメイソン”が誕生し、現在、全世界の会員数は約600万人とされる。日本の会員数はピーク時の3分の1ほどで現在約1600人(うち日本人は約200人)だという。お互いを「ブラザー」と呼び合うメンバーの結束は非常に強い。
一方、その実態は外から見えにくく、古くから、「世界を牛耳る秘密結社」「世界史の真の支配者」などと囁かれてきた。たとえば、先の大戦時にナチスが喧伝した「フリーメイソンが世界征服を企てている」という陰謀説。日本でも、かつてオウム真理教がその陰謀史観を真似し、「闇の世界政府」の中心にフリーメイソンがいると嘯いた。
「フリーメイソンの基本理念は、『善人をさらに善人にする』です。人種、宗教、社会的地位などを問わないゆえ、危険思想とみなされたこともありますが、メイソンの教えを実践して自己研鑽を重ねれば、より良く生きることができる。フリーメイソンとは、生き方(way of life)そのものです」
※SAPIO2016年10月号