米国でも、2008年のリーマン・ショック以降、事実上の「ゼロ金利」が続いてきたが、FRBは昨年12月にわずかながら金利を引き上げ、ゼロ金利を解除した。
「その後も数か月に1度のペースで利上げが続くとみられていたが、今年に入って中国経済の減速懸念などが広がり、『2度目の利上げ』は見送られてきた。そうしたなかでついにイエレン議長が、“米国の景気は安定したから、もう一度利上げする”と宣言したわけです」(証券会社関係者)
マイナス金利導入で日本の株価・為替が乱高下したことからもわかるように、政策金利の変更は相場動向に大きく影響する。「世界の基軸通貨である米ドルの金利が変われば、世界中の市場に動きが出てくる」(同前)とみられており、投資のプロたちは着々と準備を進めているのだ。
FRBのメンバーらが利上げを判断するFOMC(米連邦公開市場委員会)は6週間に1度、ワシントンで開かれる。直近では9月20~21日、年内は他に11月1~2日、12月13~14日に予定されている。
専門家の間では、「年内の利上げはまず間違いない。大統領選直前の11月はないとして、9月か12月だろう」(武者リサーチ代表・武者陵司氏)という見方が多く、「9月と12月の年内2回利上げの可能性もある」(前出・植木氏)との声もあった。
※週刊ポスト2016年9月16・23日号