「『プラハの恋人』(2007年)では、チェコ駐在の外交官として働くヒロインのライバル役として日本人女性が登場し、マラソン勝負を挑む場面がある。『韓国はコネで何でもできるんでしょ』と面と向かって言い、『走るのはコネで何とかならないですもんねえ』と皮肉たっぷりにヒロインを挑発する。なんとも嫌味な役どころです」

 青瓦台(韓国大統領府)の料理人たちを描いた『めっちゃ大好き!』(2006年)でも、韓国大統領の行事に招かれた日本人VIPが、韓国納豆を不潔だから片付けろと暴言を吐き、日本の納豆のほうが優れていると言って無理やり用意させるシーンがある。

「『日本人が公式行事でそんな失礼なことは言わないけど』と突っ込みたくなる。コメディタッチのドラマではあるが、気分は良くない」(前出の評論家)

 村上氏は「韓国には植民地支配を受けたことへの“恨”があるから、『日本に対してはこれくらいやっても許されるだろう』という感覚がある。同時に、自国より繁栄している日本への憧れと嫉妬もある。だからこそ日本や日本人を揶揄し、皮肉った表現をすることで溜飲を下げているのでは」と分析する。

 日本の植民地だった当時を描く時代物で反日的な描写が数多くあることはよく知られているが、恋愛やコメディ、サスペンスなどの現代劇にまで“反日シーン”を盛り込んでいるのだ。そうして視聴者ウケを狙う安直さもさることながら、それを無批判に輸入し放送する日本側のテレビ局もまた困ったもの。日本の視聴者は、韓国ドラマに仕込まれた“反日シーン”の事情を知った上で、楽しむことが賢明かもしれない。

※SAPIO2016年11月号

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