ビジネス

歯科技工士の技術料金 2か所でピンハネされる理由は

歯科技工士の窮状を訴える雨松真希人さん

 保険診療の銀歯や入れ歯の値段は、国が定めた全国一律の金額(診療報酬)が定められている。

 歯科医は、診療報酬の中から歯科技工士に技術料を支払うが、価格決定権がある歯科医が安く買い叩く等の問題が深刻化していた。そこで技工士団体が国に改善を求めた結果、昭和63年に次の厚生大臣告示を引き出した。

〈歯冠修復及び欠損補綴料には、製作技工に要する費用が含まれ、その割合は、製作技工に要する費用がおおむね100分の70、製作管理に要する費用がおおむね100分の30である〉

 つまり技工士の取り分が「7」で歯科医は「3」にすべき、という内容である。

 技工士たちは大臣告示に喜んだが、やがて厳しい現実を突きつけられた。法的拘束力がなかったため、技工士の受け取る技術料金は変わらなかったのである。歯科技工士の待遇改善を求めて活動する雨松真希人さん(34)がいう。

「関西のある歯科技工士が、大臣告示に基づいて技工料の改訂を得意先の歯科医にお願いした結果、歯科医たちが裏で申し合わせて、この技工士の取引を全て切ってしまった。彼には幼い子供と奥さんがいましたが、電車に飛び込んで命を絶ちました」

 取材した兵庫県神戸市の歯科技工士(57歳)が製作していた、インレー(銀歯)の診療報酬は、595点(※診療報酬を10倍した金額が歯科医に支払われる)。

 このうち技術料は284点。大臣告示の『7対3』で計算すると、1990円が支払われるはずだが、実際は5分の1の400円しか彼は手にしていないというのだ。なぜ、これほどまでに搾取されてしまうのか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン