太陽が真上に昇るほどにプールサイドには人が集まり、常設の木製デッキチェアだけでは足りなくなって、ビニールのデッキチェアまでかり出されていました。
思い起こせば、1980年代。日焼けは美徳とされていた時代、都内ホテルのプールでは、このような光景が繰り広げられておりました。若者たちがオイル片手に、裏も表もムラなくこんがりと焼くことに心を砕いていたものです。
その後、月日は流れて三十数年。「美白こそ美肌」の世になって久しい今、まるでタイムスリップしたように、そのときの若者がアラ還世代となり、私の目の前で褐色のボディーを誇らしげにさらしていたのでした。
あまりの迫力に圧倒された私は、傍らの日陰のカフェで、これまた懐かしいホテル名物のカレーをいただきながら、「アラ還世代、恐るべし」と呟くばかりでした。そして心から「ビバ! 高齢化社会!」と拍手を送ったんです。私たち、たとえ何才になろうと、自分が好きなことを、好きなように楽しめばいいんですよ。
もちろん、私は今まで通り、日焼けをする気は一切ありませんが、年齢に関係なく、時代も関係なく、自分の好きなことをやるという姿勢は、見習うべきと思いました。自分の人生を楽しむ方法を知っている大人は強いんです。この強さこそが、人生八十余年を生き続けるエネルギーであり原動力です。
だから例えば、若い頃に熱中したスキーやサーフィンに再度トライするのもいいし、あるいはテニスで、ウエアだけでもお蝶夫人になりきってみるのも素敵。最近ではスキーもカービングスキーという用具のおかげで、意外に省エネで楽しめるそうですよ。しかもスキー場によってはお得なシニア料金で楽しめます。なんでもいいんです。好きなものを見つけましょうよ。人生は楽しんだ者勝ちです。
オバさん、万歳!
※女性セブン2016年9月29日・10月6日号