現在のスポーツカー人気の要因は、トヨタ86が200万円台で購入できる価格設定をしたように、庶民でも手が届きやすくなったことが大きいが、前出の福田氏は「安ければ飛びつくというカテゴリーでもない」と話す。
「スポーツカーを選択する客層は、若かりし頃にスポーツカーに憧れた50代、60代のオヤジ世代がほとんどです。
仕事や子育てがひと段落し、ファミリーカーを卒業して純粋に走りを楽しみたい人や、個性的なクルマであちこち出掛けて自分をアピールしたいアクティブシニアは一定数います。
そうしたシニア世代はクルマの乗り換え予算にも余裕があるので、本当に気に入ったデザインや走る楽しさが実感できるスポーツカーが見つかれば、値段に糸目はつけないでしょう」(福田氏)
走りにこだわるオヤジ世代の根強い支持を受け、スポーツカーの裾野がさらに広がれば、国内のクルマ離れに歯止めをかけられる可能性もある。GT-RやNSXといった最高級モデルは、そのフラッグシップ的な存在といえるだろう。